りはりにご来店いただく患者さんで1番多い症状は首肩のコリではないかと思います。そして、慢性的な首肩のコリで悩ませれている方の多くは、頭痛を併発している方がほとんどです。
一般的な頭痛は大きくわけて3つのタイプにわかれます。
●タイプ1:頭全体が締め付けられるような痛みが続く『筋緊張性頭痛』
●タイプ2:ズキズキとした拍動性の痛みが生じる『片頭痛』
●タイプ3:一旦頭痛が出始めると月単位で頭痛がしばらく続く『群発性頭痛』
今日はタイプ1の『筋緊張性頭痛』についてお話しようと思います。
筋緊張性頭痛の主な原因は身体的・精神的ストレスによる筋肉の緊張と考えられます。
例えば、上半身を前屈みにしたパソコン操作や、俯き姿勢などを長時間続けると、頭を支えている首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。そして頭の筋肉も緊張し、血流が悪くなることによって頭痛が起こります。
さらに、精神的なストレスが自律神経に影響し、頭痛の誘因となることもあります。
筋緊張性頭痛には身体的・精神的ストレスが大きく関係していると考えられており、同一姿勢の保持などの身体的ストレスにより比較的急性に起こるものと、精神的要素や中枢性感作という状態が加わって慢性化してしまったものがあります。
どちらの状態も、体操・ストレッチなどの運動療法や入浴・リラクゼーションが治療の基本となります。
運動療法の基本は全身の筋肉をバランスよく動かすことです。首や肩が張っているからといって、首や肩だけ動かしていても張りはとれません。ラジオ体操など、左右の手足を対称的に使う動きが基本です。
使う筋肉に偏りのある野球やテニスの後では筋肉痛が起こりやすいのに対して、水泳のように手足を対称的に使う運動では筋肉痛が起こりにくいことからもそのように言えます。
入浴は体を温めることにより、首や肩の血流を改善することが目的です。あまり熱すぎない温度でゆっくりと時間をかけて入浴しましょう。
よく、頭痛の有無を確認する際に、片頭痛なのに筋緊張性頭痛だと誤解している方がいらっしゃいます。逆に筋緊張性頭痛を片頭痛と誤解している方もいらっしゃるので、簡単な見分け方をお伝えします。
頭蓋内の脳表血管が拡張することによって起こる頭痛が片頭痛です。
片頭痛は血管が拡張することでズキズキとした拍動性の痛みを生じます。 主にこめかみから目のあたりが発作的に痛み、痛みの発作は4時間~数日間続きます。
首肩のコリから、頭蓋骨周囲の筋肉の中を走行する血管が収縮することによって起こるのが筋緊張性頭痛です。
緊張性頭痛は、運動や入浴・心身のリラックスなど血管を拡張させることで、痛みが和らぎます。
筋肉の中の血管が縮むということはどういうことかを簡単にご説明いたします。
例えば、筋肉痛は誰でも経験したことがあると思いますが、全力疾走した後に足の筋肉が固くなり、痛みを伴うことがあります。
筋肉が疲労を起こすと、筋肉内に乳酸などが溜まり、末梢血管を収縮させます。その結果、筋肉中の血流が悪くなり、筋肉はビーフジャーキーのように固くなります。
同様に身体的・精神的ストレスによって、首肩から後頭部にかけての筋肉と頭蓋骨周囲の筋肉も固くなるということです。
頭は4~6kgの重さがあると言われており、この頭を体幹とつないでいるのが首です。
この頭の重さを支える姿勢は、主に下向きと上向きです。また、心理的ストレスがかかるとこの後頚部の筋肉は交感神経が支配している為、無意識にいかり肩になります。
これら3つの姿勢が緊張型頭痛の要因であり、これらの姿勢をとることが誘因となります。
これらを下向き頭痛、上向き頭痛、いかり肩頭痛の3つにタイプに分類し、その誘因となる姿勢が下記の通りです。
●下向き頭痛:手芸・編み物・読書・草刈り・調理・内職・木工・IT関係のパソコン作業など…
●上向き頭痛:剪定・果実の収穫量などの園芸作業 ・電気工事・クロス張りなどの作業・猫背の高齢者など…
●いかり肩頭痛:絶えず重いものを持ち上げる作業・子供の抱っこやおんぶ・重いカバンやリュックを背負う・長時間の運転・寒冷ストレスなど…
これらはいつもそうなる訳ではなく、元々慢性的に肩がこっている状態で、上記のような負荷が掛かり筋肉の緊張が加重された時、さらには筋肉を使っている時間が長時間続いた時などに緊張性頭痛になると考えられます。
このような筋肉が固くなる状態を避けることが筋緊張性頭痛の予防につながります。
次回は筋緊張性頭痛の予防法についてお話しいたします。