日記

鍼灸の効果はどういった仕組みなのですか?

鍼灸では、全身のツボに鍼や灸を行っていくことで、身体全体のバランスを整えていくものです。髪の毛ほどの細さの鍼を触れる、刺す、チクッとするお灸で全身の状態が変わっていくのは考えてみれば不思議ですよね?

目次
1.鍼と灸ってどんな物?
2.鍼灸の効果のメカニズムは?

1.鍼と灸ってどんな物?
鍼は様々な材質で作られていて、現在はステンレス製ですが、銀の鍼、金の鍼などもあります。銀の鍼、金の鍼と効くと、童話の「金の斧・銀の斧」みたいですね。銀や金は材質としては軟らかく、鍼を刺していくときに無理な力をかけられないのと、刺された感触が優しい感じがするので、好んで使う人がいますが、銀は熱を加える消毒ができないのと、金の鍼は高いので、取扱いが難しいのですよね。

ステンレスの鍼だと1本6~12円程度ですが、銀だと1本30円程度、金だと1本1000円程度になるので、多くの鍼灸師はステンレス鍼を使って、使い捨てにすることが多いですね。

長さは3㎝から6㎝程度を使うことが多いですが、顔などの刺さらない場所では、1.5㎝の長さの物を使うことが多いです。長い物を使う鍼灸師の方もいますが、扱いが難しいのですね。

太さは髪の毛ほどの太さと言われていますが、0.14~0.34㎜程度のことが多いです。髪の毛の太さは0.05~0.15㎜程度と言われているので、少し太目の髪程度になりますね。ちなみに、注射針の太さは0.7~0.9㎜になるので、鍼と聞いて注射を思い浮かべる人もいるでしょうが、注射針の太さから比べれば、鍼は4分の1程度になります。

日本では、鍼が痛くないように管の中に入れて叩くという管鍼法(かんしんほう)というやり方が主流なので、皮膚を管で圧迫して痛みを感じにくくさせた状態で鍼を刺していくことになるので、痛みを感じにくくする工夫がされています。

お灸はヨモギの葉の裏にあるザラザラとした細い毛を集めた物になります。ヨモギの葉は漢方では「艾葉(がいよう)」と言われ、出血防止、鎮痛、温める作用があるとされています。昔は、ヨモギの新鮮な葉を潰して外傷に貼ると出血が止まるということで利用されていました。

葉の裏の毛は、そのままでは取るのが難しいので乾燥させてから葉を潰し、毛だけを集めていくのがお灸で使う艾(もぐさ)になります。葉を取り除くのにも、いくつかの工程があるので、とにかく綺麗に取り除いた物が、皮膚面に直接載せていく艾になり、葉の取り除きが雑な物が、一般で利用されていくシール状のお灸や、棒状のお灸になっていきます。

お灸は体表面に直接載せていく場合は、米粒の半分ほどの大きさの物を使っていくことが多いです。お灸は指で艾を軽い力で丸めて細くしていき、適切な大きさで取るのですが、力を込めて丸めていけば非常に硬いものもできるので、小さい物でも100℃を超えてしまうことがあります。

訓練をしないと熱さのコントロールが難しいので、お灸が熱い物というのは間違いではないですね。熱さのコントロールは硬さや、形、感じにくくすることで温度を緩和していくこともできます。体質によっても感じ方が違うので、小さく火傷をしない物でも熱いという人がいますし、大きく火傷をする物でも気持ちがいいという人もいます。

日本では、昔から家庭、自分でお灸をして体調管理をする文化があったので、江戸時代の浮世絵の中には、お灸をしている物もあります。ちなみに、英語でお灸のことは艾(もぐさ)の音から取ってMOXAと言われます。

2.鍼灸の効果のメカニズムは?
鍼は身体の中に刺すもので、お灸は身体の外に行う物ですが、鍼は皮膚、筋肉、神経を刺激し、お灸は体表を刺激していきます。この刺激は、身体に取っては侵害の刺激になるので、治そうという抵抗力が高まるので、血流動態が変化し、身体の状態が変化していくことになります。

刺激としては侵害なのですが、鍼をされると温まって気持ちいい、お灸をされるという感覚がでるので、不思議なものですよね。

痛みなどが改善するのは、鍼や灸を行った場所に鎮痛物質が生じたり、脳内で鎮痛作用が生じたりするので、ちょっとの刺激でも身体の中では大きな動きに繋がっていきます。 身体には免疫機能があるので、鍼や灸は免疫機能に働きかけることで身体の状態を変化させていくことになります。

鍼や灸の刺激は免疫機能に働きかけるだけではなく、自律神経にも働きかけると言われています。日常生活では、仕事など緊張を持続していくことが多いのですが、こういった活動は自律神経の交感神経が担っています。

交感神経は興奮とも関係していくので、交感神経が過剰に働いているときには、内臓の機能が低下します。内臓の機能は副交感神経が担っているので、寝ているときに身体が回復していくというのは、副交感神経の働きによります。

鍼や灸を行っていくと、交感神経、副交感神経のバランス調整に働きかけると言われているので、鍼や灸は全身の状態に変化を起こしていきます。

鍼灸師も体調不良になるときがありますが、病院を利用しながら、自分で鍼や灸をしたり、仲間、先輩、後輩に鍼や灸をしたりしてもらって体調管理をしていることが多いですね。

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